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亀(萩原朔太郎の同名詩より)


  

亀     萩原朔太郎


林あり、
沼あり、
蒼天あり、
ひとの手にはおもみを感じ
しづかに純金の亀ねむる、
この光る、
寂しき自然のいたみにたへ、
ひとの心霊にまさぐりしづむ、
亀は蒼天のふかみにしづむ。

 

地面の底の病気の顔(萩原朔太郎の同名詩より)


 

地面の底の病気の顔   萩原朔太郎 


地面の底に顔があらはれ、
さみしい病人の顔があらはれ。


地面の底のくらやみに、
うらうら草の茎が萌えそめ、
鼠の巣が萌えそめ、
巣にこんがらかつてゐる、
かずしれぬ髪の毛がふるえ出し、
冬至のころの、
さびしい病気の地面から、
ほそい青竹の根が生えそめ、
生えそめ、
それがじつにあはれふかくみえ、
けぶるごとくに視え。


地面の底のくらやみに、
さみしい病人の顔があらはれ。

 

 

吠える犬(萩原朔太郎の同名詩より)

 

吠える犬   萩原朔太郎


月夜の晩に、犬が墓地をうろついてゐる。
この遠い、地球の中心に向つて吠えるところの犬だ。
犬は透視すべからざる地下に於て、深くかくされたるところの金庫を感知することにより。
金庫には翡翠および夜光石をもつて充たされたることを感応せることにより。
吠えるところの犬は、その心霊に於てあきらかに白熱され、その心臓からは蛍光線の放射のごときものを            
 透影する。
この青白い犬は、前足をもつて堅い地面を掘らんとして焦心する。
遠い、遠い、地下の世界において微動するものを感応することにより。
吠えるところの犬は哀傷し、狂号し、その明らかに直視するものを掘らんとして、んなしい月夜の墓地に 
 焦心する。


吠えるところの犬は人である。
なんぢ、忠実なる、敏感なる、しかれどもまつたく孤独なる犬よ。
汝が吠えることにより、病児をもつた隣人のために銃をもつて撃たれるまで。
吠えるところの犬は、青白き月夜においての人である。

 

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