忍者ブログ

でおひでおの画室(旧)

絵たまに文
MENU

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

吠える犬(萩原朔太郎の同名詩より)

 

吠える犬   萩原朔太郎


月夜の晩に、犬が墓地をうろついてゐる。
この遠い、地球の中心に向つて吠えるところの犬だ。
犬は透視すべからざる地下に於て、深くかくされたるところの金庫を感知することにより。
金庫には翡翠および夜光石をもつて充たされたることを感応せることにより。
吠えるところの犬は、その心霊に於てあきらかに白熱され、その心臓からは蛍光線の放射のごときものを            
 透影する。
この青白い犬は、前足をもつて堅い地面を掘らんとして焦心する。
遠い、遠い、地下の世界において微動するものを感応することにより。
吠えるところの犬は哀傷し、狂号し、その明らかに直視するものを掘らんとして、んなしい月夜の墓地に 
 焦心する。


吠えるところの犬は人である。
なんぢ、忠実なる、敏感なる、しかれどもまつたく孤独なる犬よ。
汝が吠えることにより、病児をもつた隣人のために銃をもつて撃たれるまで。
吠えるところの犬は、青白き月夜においての人である。

 

PR

Comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

× CLOSE

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

リンク

フリーエリア

最新TB

プロフィール

HN:
でおひでお
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

最古記事

(03/01)
(03/02)
(03/07)
(03/08)
(03/12)

P R

× CLOSE

Copyright © でおひでおの画室(旧) : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]